かつて甲斐駒ヶ岳行者が通ったお中道。

横手駒ヶ岳神社の宮司さんによると、昔は頂上まで登拝したあとに奥の院である摩利支天にお参りして、その帰路に使っていた道だそうです。黒戸尾根の八合目から、赤石沢のど真ん中を通過する、通称「八丈バンド」沿いに摩利支天に抜けるライン。戦前の絵地図には、確かにそこに道の線が引かれています。

いまは通う人もなく、道は消滅してしまいました。しかしそのラインの存在を知ってから、いつかはガイドしたいと温めていました。

七丈小屋の管理を始めてからコツコツと通って下見を繰り返し、いよいよ今年、リリースさせていただきました。

初日は黒戸尾根から。

しかし今回は途中でいまの道から外れて、かつての登山道である粥餅石に立ち寄りました。甲斐駒ヶ岳を開山した行者が、粥と餅だけで1000日間も修行をした伝説に由来します。皆さま何度も黒戸尾根に来られているので、新鮮な体験をしていただけました。

翌朝は素晴らしいご来光を拝み、そのあとも素晴らしい光景に出会えました。

お中道はロープをつなぎ、慎重に行動しました。道が不明瞭なことに加え、たくましく育ったアザミの棘との格闘や、思いがけず多かったブヨとの戦いでしたが、泥臭くも充実した登山となりました。

八丈バンドは滑落したら助からない場所がほとんどです。またルートが不明瞭でとてもトリッキーなルートファインディングが求められます。万が一通過される場合は、ふさわしい力量と覚悟を持ってお出かけください。

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